クララ
以前茨城県内の仏像を 訪ねようと調べていた際に思わぬ仏像が目にとまったそれは如意輪観音の形をしているが、立っている如意輪観音であった。→如意輪観音とは
通常、如意輪観音というのは国宝の仏像として有名な大阪府観心寺の如意輪観音のように、片膝をあげながら座ってひじを曲げて頬に手を当てて、「人々をどうやって救おうかしら〜」などと物思いにふけっている姿をしている。その姿がアンニュイで艶かしくもあり、仏像ファンたちの心をとらえていると私は思っている。
立っている如意輪観音というのは自分のそれまで築き上げた仏像の常識を大きく覆すまさに革命的な仏像だった。自分の脳裏に衝撃が走り、つい「ク○ラが立った…」とアルプスの少女の言葉を叫びたくなってしまった。
その後、いろいろと調べていくうちに福岡県にある如意輪寺さんというお寺の本尊の如意輪観音がこちらの仏像と同じく立っている仏像であることがわかった。しかしながら如意輪寺の仏像は現在秘仏となっており12年に一度の御開帳の仏像。平成25年に御開帳しているようで次回の御開帳は6年後なんだそうだ。
茨城県の如意輪観音は近隣の歴史資料館に現在は寄贈されていて、通常は展示をしていないとのこと。諦めたものの何度もアプローチをかけたところ特別に拝観させていただく機会をいただけることになり、今回仏像部水戸遠征に合わせて訪問させていただけることになった。
資料館に到着して受付の女性の方に声をかけ、奥の関係者用の通路スペースに案内される。そこにはガラスケースに入った収蔵庫から出された如意輪観音がたっていた。
まぎれもなく如意輪観音なのに「立っている」…!!
欅の一木造り像高107.5cmの仏像。平安時代の作と推定されているそう。
どことなく雰囲気は荒々しく男性的。
率直な感想を言えば、全国的にも如意輪観音といえばどこどなく「セクシー」な女性的な雰囲気を醸し出している仏像が多いがこちらの如意輪観音は如意輪観音“なのに”「男」を感じる。
対峙して目の前に向き合ってみたが「なにジロジロ見てんだ」「立って何が悪いんだ」という声が聞こえてきそうだ。
じっと見ていると、おっちゃんが銭湯からあがって汗を拭いている姿にも見えなくもない。
たぶん後世の修理もあると思うので、顔面の補正はされているような気がしなくもないけれど実際どうなんだろう。
仏像部の面々も興味津々で、自分たちの常識を覆す仏像の登場に目を丸くしていた。
ちなみに時代はもっと近世になると思うのだけれど、実は栃木県壬生にある寺のお堂にも立っている如意輪観音らしき仏像に出くわしたことがある。それがこちらの仏像である。
如意輪観音がなぜ立つのか、どんな理由があるかはまだ勉強できていないのですが、また何かわかったらブログでご紹介したいと思います。
常識を覆す仏像がこれからの仏像人生のなかでどれほどお会いできるのかわかりませんが、きっとあるハズ。そんな衝撃に出会うためにもこれからどんどん日本を巡って数々の仏像に出会っていきたいと思える今日このごろです。